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“元リク”パワーウーマン3人が、社長の悩みに迫る!

2016/08/24

2016年7月15日、雰囲気のある大阪中央公会堂(重要文化財)で、「マーケティング・営業・労務を変えるワンストップセミナー」が開催されました。アイ・キューブ代表の広野郁子が、リクルート時代の同僚で経営者となった2人と一緒に、企画した共同セミナーです。

多くの起業家を輩出している、リクルート。創業者の江副浩正氏は「社員は皆、経営者である。」と言い続け、旧社訓は「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」でした。そのような社風で営業や企画の経験を積み、機会を創り起業をし、他社の経営支援をしている3人の“元リク”女性社長。初企画である「マーケティング」「営業」「人事」をまとめたワンストップセミナーには、経営者や幹部層が多数受講に来られました。

第一部  社員の一人ひとりがマーケッターになるために

まずは、企業の商品企画支援を行う、株式会社アイ・キューブの代表、広野郁子からマーケティングセミナーです。リクルート時代の広野は、不動産情報誌の企画営業をしていました。
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マーケティングの定義とは、何でしょうか?いろいろな意見があり、権威とされる方々の見解がありますが、ほぼ共通するのは「市場」や「人間集団」に対する働きかけや活動ということです。マーケティングを活用するには、「人間」を知らなければいけません。何を言えば振り向くのかを考えなければいけません。

私はリクルートに勤めた後、三菱電機というメーカーにもいましたので、その中で働く方の気持ちもわかります。メーカーは、作ったモノが可愛いので、どれだけそのモノが良いかを言いたくなります。モノが主人公です。しかし、そのモノが、どういう良さを消費者にもたらすか、どんな暮らしを生むのか、人を主人公にしなければ消費者には伝わりません。特に男性はスペック重視で考える人が多いのですが、女性は自分が主人公になりたいのです。

掃除機を販売したいとします。その時は掃除機の機能を伝えるより、その掃除機を使ってどのような気分になるのか、どのような良いことがあるか、消費者の頭の中にイメージを作り、静止画を想像させる必要があります。吸引力を強調した掃除機の写真と、きれいになった床で寝転がっている女性の笑顔と、どちらが魅力的でしょうか。

欲しい洋服の色をアンケートで取ったとします。 赤い服が好きという意見が50%あったら、赤い服を創ろうと発想しがちですが、赤が欲しい理由をよく聞くと、「若々しく見られたい。」という深層心理があることも。その場合は、必ずしも赤い服を創るのではなく、若々しく見られる服を提供するほうが、消費者のニーズは満たされるでしょう。

顧客の欲しいは、モノの先にあるシーンから見つけと良いですね。抽象的に表現されるニーズは、生活や使用シーンから定義していきましょう。たとえば以前私どもが関わったお仕事で、手首にまく血圧計の要望を聞くことがありました。そうすると、手首式の血圧計はコンパクトがいいという意見が出るので、できるだけ小さくしようと発想しがちなのですが、よく聞くと、引き出しに入れたり、持ち運びに便利なようにしたいというニーズがあったのです。

消費者の目的、行動、シーンをいつも考えて、想像力や直感という感覚的な部分を研ぎ澄ますこと、観察力を磨くことが大切です。人にたいして関心を深く持ち、トレンドに敏感になり、その本質を考える癖を持つことがマーケティングにおいて重要です。

ふだんの生活の中で、五感をフルに使えば、社員の一人ひとりがマーケッターとなることも可能ですよ。

第二部  トップセールスはいらない!楽しく稼ぐ営業チームの作り方

次は、営業コンサルティングを行う株式会社レッドポイント代表 泊悦子です。泊はリクルート時代、ケイコとマナブの立ち上げや営業をしていました。
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広野さんの話はB-to-Cで、消費者向けの商品作りです。私の場合はB-to-Bで、営業組織をどう作るかという話です。今日いらしている方は、リーダークラスの方だと思いますが、そういう方はだいたいがトップセールスですね。

広野さんが言ったように、良い商品を作ることができたら、売れていいですね。しかし実際は、不完全な商品を売らなければいけないという事もあります。どうすれば、売れるのでしょうか?営業の量と質をアップさせる必要があります。営業は売上数字を背負い、組織にコミットしているものです。しかしうまく動いていないことがあり、そのような組織のために私が入っています。商品の形が無い時から、少しずつ現場で形を作っていきます。

今、時代や環境が変わっています。成果を出すのが難しく、働く人の意識も変化し(例:仕事にやりがいを求めない、出る杭は打たれる、会社や仲間とのつながりが希薄)、情報化や高度化によって仕事そのものから喜びが得られにくい状況です。皆さんの組織は、いかがでしょうか。

さて、成果が出ない営業組織で陥りがちなパターンは3つあります。

1.命令・細かな行動管理 
→ やらされ感、いわれたとおりにやったという責任転嫁、学習せず応用がきかない

2.結果でしばる 
→ 結果が出ないと辞めてしまう、間違ったプロセスで仕事をする(例:オーバートーク)

3.自主性にまかせる 
→ 自分の好きなことだけやり、成果に結びつかない、低い目標や自分ができているという勘違い

1から3までを、ぐるぐる回るパターンが多く見られます。本人のヤル気が生まれず、プロセスや内容が共有できず、行動が成果(数字)に結びつきにくいのです。そうなると、仕事が楽しくなく、人が育たず、辞めていきます。

では、営業で成果を出すにはどうすればよいでしょうか?3つのヒントをお伝えしましょう。

1.自分たちの「成功パターン」を見つける・つくる
(ア)どういうお客さんに売れているのか?
(イ)購入や導入にあたってのきっかけや、決め手は何か?
(ウ)お客様は商品やサービスをどのように使っているのか?

2.継続して行動する → PDCAを回す

3.一人ひとりが当事者&主役となる

重要なのは意識改革、マイナスではなくプラスに持っていくこと。会議の中で意識を変えていくこと、本音で話し嘘がないことが大切です。敬称は使わず、対等な立場で話し合えると組織はきっと強くなっていくでしょう。

第3部  雇用の多様化に対応!労務の知識を活かした素敵な雇用体制作り

最後は、社会保険労務士の山田扶美子です。リクルートでは、営業や営業企画をしていました。現在は、山田扶美子社会保険労務士事務所の所長として、企業の人事研修や労務指導などを行っています。
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私の講義内容というのは前のお二人と違って、ニコニコ笑って聞けるものではないんですよね。相談に来られる方は、悩んだ顔で困って来られる方々です。昨今、労務問題三大紛争は、1.残業代2.年次有給休暇3.解雇 です。辞めてから「残業代をもらっていない」と言ってこられることがあります。

残業代は、必ず払わなければいけません。賞与や退職金を、がんばって払おうとする社長さんが多いのですが、これらは法律で定められているものではないのです。就業規則で決まっていれば別ですが、そうでなければ、そこで頑張っても仕方ないのです。むしろ、日本の法律で決まっている、残業代や年次有給休暇、解雇予告をしっかりするほうが良いのです。争っても負けます。

給与は残業代込みと、口頭で言っているとします。たとえば、27万5千円の給与のうち5万5千円は固定残業手当で、22万円は基本給とします。その場合、22万円÷22日勤務÷8時間×1.25倍×35時間=5万5千円となります。この内訳を雇用契約書等で初めに明示・説明する必要があります。固定残業制と決めれば、35時間の残業がなくても5万5千円を払わなくてはいけません。あまり残業がない会社は、固定残業手当を導入すると損になる場合もあります。固定残業制といっても、40時間働いた場合、オーバーした5時間分の残業代は払わなければいけませんし。

とはいっても、ダラダラ働く社員が残業をする場合、会社に残業申請もなく、それを会社が認識して、「早く帰るように」注意していれば残業代を払う必要がない場合があります。過去に裁判で争って、会社が勝訴したケースがあります。会社が従業員の残業するのを把握していて、早く帰るように注意したことと、残業するような量でなかったことを証明できたからです。残業を防ぎたければ、従業員に残業申請を出してもらって、会社はその従業員の業務量を把握していて、会社が残業を承認した場合において認めるよう、運用していくことが大切です。

また、年次有給休暇は法律で必ず与えなければいけないと決まっています。辞めるときに残った有給休暇も、与える必要があります。よって、有給休暇を取ることを想定した賃金を計画し、社会保険料(賃金総額の約15%)、有給、残業代を考慮して決定しましょう。

有給休暇の計画的付与の方法として、1.下記・年末休暇に組み込む(これらは法律に組み込まれていない)2.ブリッジホリデー(飛び石連休の時に休んでもらう)3.アニバーサリーやメモリアル休暇制度4.閑散期に集中 などがあります。有給休暇は計画的に付与すると、会社全体の業務がスムーズに行き、社員のモチベーションアップにもつながりますよ。

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質疑応答の時間では、社員の本音を引き出すにはどうするか、できる社員とできない社員でどう組織を効果的に創るか、効果的な採用についてなど、様々な質問が出ました。それに対し3人がそれぞれの立場や見解から答え、盛り上がりました。また、受講者同士が自社の事例を紹介するなど、活発な交流が生まれました。

消費者に受け入れられる商品企画、それを販売する営業組織作り、人が働く場合の法律や人材確保。まったく分野は違いますが、企業の経営層やリーダー層には、どれも知っておくべき事柄。マーケティングにも営業にも労務管理にも理解を深め、強い会社を作って欲しいと3人は願っております。

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●● 参加企業様からの感想(一部ご紹介します)●●

「3時間にわたる時間が、あっという間に感じるほど、みなさまのお話を、楽しく拝聴させていただきました。講師の先生方も、受講者の方々も、刺激に満ちていて、大変、楽しい時間でした。」

「マーケティング、営業と人事労務の組み合わせは新鮮でした。両方を視野に入れないと。そんな声が聞こえてきそうです。」

「お集りの皆様の前向きな姿勢には、驚かされます。貴社のイベントすべてに共通ですね。その姿勢に学ぶことがあまりに多い。興味が尽きないというのが正直な感想です。」

「講演者3名のどなた様も共通してお話が分かりやすく、説得力がありました。ぜひ今後も引き続き3名トリオで講演を企画される事をご提言します。」

3人のパッケージ商品の開発も進行中ですので、また具体的になりましたら、ご紹介しますね。それまでにも、ご興味のある方は、ぜひご連絡下さいませ。
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