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生活者の「心」を動かす商品企画 ~大阪と広島のセミナー~

2016/10/24

9月はいろいろな所で、商品企画についてお話しをする機会をいただきました。多種多様な業界や職種の方々が、これからの商品企画のヒントを得たい、より深く生活者の心理を理解したいと、熱心に耳を傾けてくださいました。その一部、大阪と広島のセミナーをご紹介します。

二日間の大阪セミナー。商品企画の専門家達も、新しい気付きと発見が。

9月9日と16日、3時間ずつ開催された、大阪府産業デザインセンター主催のセミナー。31名の方に受講いただきました。約半分の16名が製造業、そして6名ずつが卸・小売業、サービス業、デザイン業からの参加です。また、教育・学術研究機関の方も3名来られていたのですが、日本の産業にイノベーションを起こせる人材教育を手掛けていらっしゃる大学の准教授もいらして、期待に応えられるかドキドキしました。

所属される企業の規模は様々で、50人から99名までが一番多く10人、次が1000人以上で7名でした。企業の大小にかかわらず、意外にも似た課題を持たれていることがわかりました。現状の商品開発では行き詰まっている、新しいもの、生活者にひびくものを産み出したい、という思いは共通なのですね。

部署は企画開発部門が21名、デザイン部門が7名、研究部門が2名。 受講の動機は「仕事に関連した内容だから」21名、「テーマに興味があって」10名、「仕事に直接必要な内容だから」8名と、今のお仕事に役立てようという強い意欲を感じました。

マーケティングに関しての市場環境の変化をご説明し、「モノから心へ」の流れが顕著になった結果、商品開発を行う上でも、単にモノを作るだけでは売れない、マーケティングも「調べる」「探す」ではなく創造的な活動が必要となってきたという流れを解説しました。

特にこれからの商品企画に必要な力は、「調査」の枠を超えたクリエィティブ力です。下記の5つの力がとても大切だと、私どもは考えています。

アンテナ力: 会社の中にだけいてはダメ。あらゆる方向でのインプット

共感力: 説得しない、共感する

価値引き出し力: 常に「なぜだろう?」を考える 生活者視点を持つ

結び付け力: 一見異なる事象でも本質は同じ 全く違うものと結び付けてみる

遊び心(既成概念破壊力): 現状から出発しない 再定義する

第一日目の講義の後は、ワークショップ。潜在ニーズをお客様から引き出す質問、価値の伝え方など、4回にわたってグループでワークを行っていただきました。特に、最近の生活者トレンドから共通点を見つけていくワークでは、ついつい陥りがちな「つくり手視点」ではなく、「生活者の価値視点」でキーワードを出してもらうように、各テーブルを回りました。

異業種の方と話し合う中で、新鮮な視点に驚き、刺激を受けられる受講生も多かったようです。

1週間後に開催された、2回目のセミナーでは、アイ・キューブ社が関わった様々な事例を紹介し、その裏にある苦労や工夫、生活者のニーズをとらえてヒットを生みだした方法を解説しました。企画開発に関わる者として、日ごろから意識したいことは、人々の持つ心理がどう行動に現れ、それがシーンとなるのか、それぞれを関連付けて把握することです。デジタルが旺盛な昨今ですが、人間は理屈だけでは動かないもの。顧客の「欲しい」を見つけるには、想像力や直感という感覚的な部分から商品開発のヒントを見つける必要があります。

前回のセミナーから、参加者はそれぞれ成果や気付きがあったようでした。そして次のワークショップでは「自分達(の商品)を定義する」ことに取り組んでいただきました。目的をどんどん広げて、上位目的を考え展開するワークでは、新鮮な視点で皆が考えることができました。哺乳瓶のメーカーが過去に一度も考えたことなかったという、哺乳瓶の利用目的や活用方法については、参加者から斬新なアイデアが豊富に出され、会場は大いに盛り上がりました。

広島講演は3時間。企画開発の理論や事例が、熱心に聞かれました。

9月20日には、広島市中小企業支援センターの流通革新研究会からのご依頼で、「ヒット商品企画の舞台裏教えます」というテーマで講演しました。30名ほどの参加者は、会の成り立ちとして卸売業の方が多かったものの、食品メーカー等の参加者もいらっしゃいました。メーカーや小売業の形が進化し、また人口減少に伴う需要減が予測される中、流通革新研究会では業界の新たな戦略を考えておられます。

今回のセミナーは、アイ・キューブ酒場での私のプチセミナーレポートを読んだ研究会の方から、直接連絡があり、講演を依頼されて実現しました。そのように積極的に、新たな知識を求めておられることにも感心しつつ、コツコツと情報発信をしていくと、誰かの目に留まり、新たなご縁を作るのだと実感しました。

講座は、13:30~16:30の間、1回の休憩をはさみはしたものの3時間ぶっ通しで講義を聞いていただくものでした。 ワークショップや話し合いなども無いのに、3時間誰も寝ることもなく、熱心に聞いてくださったのは驚きでした。(昼食後の眠い時間にも関わらず・・・)。

(画像6)

本やネットでは決して得られない、生の体験や企画者としての心得や舞台裏を、熱く(?)語らせていただきました。

変化の激しい現代で、少しでも顧客の心を理解し、新たな価値を創造しようと熱心に勉強される皆さん。大阪や広島と場所は違っても、何かヒントを得て、自らの力にしようとされる気持ちは同じものを感じました。

参加者のご感想(大阪)
・商品デザインの発掘で、行き詰まっているところもありましたが、その解決策を教えていただいたので、早速使わせていただきます(製造業 研究部門)
・とても良いセミナーでした!企画アイデア出しが楽しくなりそうです。(サービス業 企画開発部門)
・コンセプトの作り方を学ぶことができて有意義でした。(教育・学術研究機関 企画開発部門)

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