国内実感レポート

キャラクタービジネス花盛り―アンパンマンからBT21まで―

2018/07/13

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先日、息子夫婦と1歳5ヵ月の孫と一緒に、神戸アンパンマンこどもミュージアムに行ってきた。ここができたのは5年前。全国に5館ある中の1つである。ハーバーランドで前を通るたびに、「いつか私も孫ができたら来よう」ともくろんでいた。というのは、大人同士でも入れるディズニーランドと違い、アンパンマンミュージアムは子どもが一緒でないと入れない未開拓ゾーンのような気がしていたからである。

平日の開館15分前。まさかと思ったが、ミュージアムの前にはすでに長い列ができていた。ざっと見たところ、20~30代の若い夫婦プラス入園前の乳幼児。時々、おばあちゃんとおぼしき姿も(わが家はこのパターン)。なぜか、おじいちゃんの姿はない。並ぶのに飽きないように、アンパンマンやしょくぱんまんが登場し、早くも子どもたちは興奮気味!

入口でお出迎えしてくれるアンパンマンとしょくぱんまん。
アニメのアンパンマンはほぼ二頭身なので、スラリとして見えた。

入口で1人1800円(大人も子どもも均一)を払い、ベビーカーを預けて中へ。「ミュージアム」というものの、実際は小型の室内遊園地である。すべり台やボールで遊べるプレイスペース、パン工場などのお店屋さんごっこができるスペース、キャラクターが歌やパフォーマンスを見せるステージ、さまざまなキャラクターが出てくるジオラマ、お絵かき・工作などの体験コーナーなどがある。孫はすべり台とアンパンマンごうの操縦がお気に入りで、永遠に遊べるのではないかと思うほど夢中になっていた。

左:入るとすぐにドキンちゃんと握手。中:「虹のすべりだい」は大人気。右:「アンパンマンごう」の操縦席。幼児はボタンが大好き

左:「たんけんランド」は畑のジオラマ。 ボタンを押したり、のぞき窓からながめたり。
中:「たんけんランド」では、 ダイコン、トマト、ニンジン、長ネギなどもキャラクターになっている。
右:床にも、おなじみのキャラクターが仕込まれている。

さて、アンパンマンは、やなせたかし氏が1973年に作ったキャラクターである。当初は「あんぱんまん」とひらがなだったらしいが、1988年にテレビアニメ放映が始まったときには、今のようなカタカナ表示になったという。1988年生まれの息子はちょうどこの時期と重なり、テレビや絵本でアンパンマンの世界観を存分に楽しんだ世代だ。とはいえ、小学校に入る頃からはドラゴンボールへと関心が移り、アンパンマンは見なくなったと記憶している。

息子も、子どものおかげで久しぶりにアンパンマンと触れ合ったわけだが、「あー、こんなキャラ、いた、いた」「あれはいなかったな」などと嫁と盛り上がり、なかなか楽しそうだった。

そんな姿を見ながら、「アンパンマン」というキャラクターの特徴について気づいたことがある。

(1)だれにでもわかりやすい

→基本的に、「丸」で構成されたシンプルなデザインと配色。ドラえもんが描けない人もアンパンマンなら、簡単に真似て描くことができる。

(2)新キャラクターをどんどん増やすことができる

→アンパンマンやバイキンマンなどの定番キャラクターに、いつも新しいキャラクターが加わり、飽きさせない。

(3)男女ともに楽しめる

→どちらかというと女児向けのキティちゃんなどのサンリオキャラクターや、男児向けの戦隊ヒーローのキャラクターではなく、異性の兄妹(姉弟)が一緒に楽しめる。

(4)時代を超える安心感がある

→おそらく、夢中になる子どもの年齢は2~4歳がメイン。小学校入学前までと期間限定だが、親にとってもなじみがある定番のキャラクターになっている。

このように、子どもたちを虜にする「アンパンマン」は、30年もの長い間、物販を含めたキャラクタービジネスとして成功し続けていると考えられる。

左、中、右:いずれも、シンプルで視認性の高いキャラクターたち。

ところで、先日、27歳の娘と9年ぶりに韓国・ソウルを旅してきたのだが、ここで新たなキャラクタービジネスを発見した。訪れた街(明洞、東大門、弘大、仁寺洞など)はもちろん、仁川空港でも、とにかく目についたのが、SNSから生まれたLINEとKAKAOのキャラクター。それぞれに専門のストアがあり、若い女性で大混雑していた。

左:明洞(ミョンドン)のロッテヤングプラザ内の「KAKAOフレンズストア」。中:明洞にある「LINEフレンズフラッグシップストア」では、巨大ブラウンとの写真撮影に女性たちが並んでいた。右:東大門(トンデモン)の銀行のATMにも、LINEのキャラクター(ブラウンとコニー)が付いていた。

KAKAOは日本ではあまりなじみがないが、韓国ではLINEのブラウンやコニーなどとともに大変な人気だ。また、最近では、韓国のBTS(防弾少年団)のメンバーがそれぞれデザインしたLINEのキャラクターができ、話題になっている。BTSは、5月にアジア圏の歌手として初のアメリカ・ビルボード総合アルバムチャート1位を獲得した7人のKポップグループだ。地下鉄のプリペイドカード(Tマネー)、ドラッグストア、大手パンチェーン店、ドーナツ店などとのコラボ商品、LINEのゲーム…もちろん、LINEストアの多くの商品にもBTSのキャラクター(BT21:ビーティーイシビル)が付けられていた。

左:セブンイレブンで購入した地下鉄のTカード(LIMEのブラウンとBT21のTATA)。
中:明洞のドラッグストア(オリーブヤング)の外壁にも、BT21の巨大イラスト。
右:オリーブヤング内の目立つところに陳列されていたBT21のフェイスパック。1枚200円と少し
高めだが、ファンにとっては、パック本体というより、好みのみのキャラクター商品を買うことに
意味があるらしい。

左・中:KAKAOフレンズストアでは、スマホケース(写真左)やスマートスピーカーといった、
IT関連の商品も豊富。、右:パンチェーン店(パリバケット)のケーキも、LINEのブラウンと
コニー仕様になっている。

こういったキャラクターが前面に出たストアは、日本ならばアンパンマンに見られるように、子ども用の商品が中心となることが多いが、韓国ではKAKAO、LINEともに、そういった商品はほとんどない。ターゲットを大人に設定していることがよくわかり、日本のキャラクタービジネスとの方向性の違いを感じた。コスメの世界で先駆け的な商品は韓国発であることが多いと聞くが、キャラクタービジネスも同様なのかもしれない。時代の空気を読むのが上手く、今、注目されているものとのスピーディに活用することで、相乗効果的に注目されるビジネスモデルとして成功しているのであろう。


Fusa Imai
大阪市生まれ。フリーランス・ライター&インタビュアー。元・㈱アイ・キューブ社員。現在は、WEBや企業広報誌等に、トレンド解説やシニア向けコラム等を執筆中。「人生後半の幸せな生き方」に興味があり、そのテーマに関わるヒト・モノ・コトにいつもアンテナを立てている。趣味はヨガ、弓道、アート鑑賞。

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