海外実感レポート

ごみゼロの美しい街を目指して

2018/06/29

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華の都と言われているパリに初めて降り立った時、必ずと言っていいほどガッカリすることの一つが道路の汚さではないだろうか。エッフェル塔や凱旋門、美しい石造り建築に気を取られていると、うっかり犬の落し物を踏んでしまったなんていう方もいるはず。そんな時、通りがかりの仏人は「犬の糞を踏んだ人は幸運がやってくるんだよ」と慰めジョークを飛ばしてくるが、その日の気分はすっかりブルーだ。

パリは建物ごとに白、黄色、緑の蓋の色に分けられたごみボックスが内部に設置されている。白色は、ワインボトルなどガラス系のリサイクルごみ、黄色はミルク・ジュースパックやメタル系素材、紙、ダンボール・厚紙、プラスチック、小型電気機器などのリサイクルごみ、緑色はその他可燃ごみ、と大きく3つに分けられている。しかし日本やドイツのように細かなごみ分別や厳しいコントロールがない上に、元々アバウトな国民性も加わって、実際にはこの3つの分別ですらいい加減に捨てられている。また公共スペースにも、緑と黄色の透明ゴミ袋が等間隔に設置されているが、ごみ分別は殆ど機能していないように見える。それどころか空き缶やたばこの吸殻が道路から消えることはなく、「ごみはゴミ箱へ」の基本的マナーがなかなか身につかないから困ったものである。この「汚い街」汚名返上のために、数年前からパリ市はゴミ&エコロジー対策の取り組みに力を入れている 。例えば、公共スペースに、たばこの火消し器具が付いたゴミ箱を更に3万個設置した。レストランなど飲食店には全部で12万5千個の灰皿を配布し、喫煙場所となる店の前に設置を義務付けるなど、より目につくようにゴミ箱、灰皿を増設することによって、まずは市民意識を変えようとしている。また、ごみを作らない「ごみゼロ」対策として、リサイクルごみの分別をより細分化、プラスチック、厚紙、ガラス類、衣類ごとに各々ゴミ箱を公共の場に設置することで、リサイクルごみへの意識を促している。プリンターのカートリッジ、電池など分別しづらい細かなごみは、スーパーのコーナーなどに回収箱が置かれている。

取り組みはこれだけではない。街の清掃者の増員、空き缶などを吸い取る大型電動掃除機、エコロジーの為に電気清掃車の導入、道路を洗い流す散水車など、多額の設備費、人件費も投資している。更に、2年前からごみのマナー違反には68ユーロの罰金、犬の糞を放置した場合は一年前から値上がりして135ユーロの罰金が課せられる。罰金制度が抑止力になり、特に犬の糞については、10年前に比べるとかなり少なくなった。しかし実際には現行犯で捕まえるのが難しい為、軽視している飼い主がまだ結構いるのが現状だ。私としては、日本のように学校でそうじ教育を導入して欲しいと常々思う。上記でも述べてきたように、パリの街の汚れは、ほとんど個々のモラルの欠如に起因する。使用した場所は自分でそうじする、公共の場は汚さないようにする、などの基本的な生活マナーを幼少から教えていれば、こんなにも街の美化対策に悩まされることはなかったのでは? そんなわけで、我が家の娘たちには、自分たちの部屋は自ら掃除してもらい、ごみマナーも小うるさめに伝えているつもりだが、果たしてその習慣をしっかり身につけて大人になってくれるかどうか…。そんな小さな草の根教育こそ、ごみ意識改革へ近道と信じてこれからも根気よく頑張りたい。

 


●M.O●
大阪出身。2000年からパリ在住。フランス人の夫、娘2人の4人暮らし。15年間日本とパリで貿易商社に勤めた後、数年前よりフリーランスで通訳、マーケティングの仕事へ転向。同時に長年続けている写真も本格的に始動、今年(2015年)1月パリにて初個展開催。「人に優しい街づくり」を目指すパリ市の発展に注目しながら、暮らしの工夫、異文化体験、最新ニュースなど生活に密着した身近なトピックを楽しくお届けしたいと思います。

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