海外実感レポート

アートと地元愛にあふれる街、デンバー。

2018/05/31

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5月下旬にアメリカ南西部、コロラド州の首都、デンバーに行ってきました。デンバーというと、これまでは「ロッキー山脈のふもとのカントリーな街」というくらいのイメージしかありませんでしたが、1週間の滞在でそのステレオタイプは見事に覆されました。

「マイル・ハイ・シティー」と呼ばれるように、標高約1マイル(1.6キロメートル)、一年のうち300日がカラッとした晴天日という“アメリカの軽井沢”のようなところ。もちろんアメリカ内でも観光地としての人気は高く、夏はアウトドア、冬はスキー客と一年を通して多くの観光客でにぎわいます。アメリカ国内いろいろな場所を訪れたことのある私ですが、デンバーはその中でも「住んでみたい」場所のひとつに一気にランクイン。もちろんお金があれば、の話ですが(笑)。というのも、コロラド州は州外からの移住人気が高く、そのため家の価格も高騰を続けているそうです。

そんなデンバーの街をぶらぶらと歩きながら、この不思議な居心地の良さはいったいどこからきているんだろうと考えていましたが、そのひとつが街中にあふれる「アート」であることに気付くには時間がかかりませんでした。それもそのはず、デンバーは市を挙げて地元のアーティストを応援しているのだそうです。町を歩けばところどころに個性豊かなミューラル(壁画)が目に入ります。これらは、アーティストが許可なく描いているものもあれば、市や団体がきちんとアーティストに依頼をして描いてもらっているものもあるのだとか。小さな壁画ペイントの仕事から端を発して、そのキャラクターが一躍有名になって、全米に羽ばたいていったアーティストもいるそうです。

町の北部、RINO(ライノ)地区は、そんなアーティストたちが好んで住むアート地区。10年ほど前までは工業地帯で環境も治安も悪かった場所ですが、家賃の安さにひかれてアーティストたちが移り住み始めてから活気がよみがえりました。

この場所を支えている一人が、ここで生まれ育ったソニアさん。廃れていくこのエリアをアートの力でよみがえらせようと、古い印刷工場の建物を購入し、小さなスタジオに小分けして月額600ドルで地元のアーティストたちに貸し出しています。また、毎月第一金曜日を「アーティスト・ナイト」と名付け、スタジオ内や廊下に作られたミニギャラリーを一般に公開。現在、14のスタジオで15人のアーティストが創作活動をしており、部屋の空きを待っている人も多いそうです。

「写真、絵画、彫刻、手作りクラフト、など様々な種類のアーティストがここを使っています。昼間の仕事をしている人たちも多いので、夜に集中して制作活動ができるこの場所はとても貴重なんですよ」と、ソニアさん。

(左)ソニアさん (右)店子でアーティストのロゼアンさん

このビルのすぐお隣にある、レストラン「The Preservery」の店内もアートがあふれていました。ニューオリンズ出身のシェフ、クーパーさんが作るケジャンとアメリカンがミックスしたメニューは大人気で、地元のミュージシャンも毎晩店内でライブを行っています。共同経営者のウィトニーさんは、「アートと音楽と食の融合をここでやってみたかったんだ。デンバーは成長を続ける街のパワーを感じるところ。ここで活動するクリエイティブな人たちを応援したい」と熱く語ってくれました。

アートのあるところには音楽も集まる。それを目当てに、おしゃれなレストランやバー、クラブも次々とオープンし、若者が集まり活気にあふれかえる。“地元産”を応援したいという強い気持ちとの相乗効果でこれを実現したRINO地区は、今では「デンバーいち、おしゃれでホットな場所」となっています。

ビールもアート

  • ソニアさんの貸スタジオ

Bindery on Blake :2901 Blake St & 2875 Blake Street Denver, CO

https://rinoartdistrict.org/go/bindery-on-blake

  • 取材協力:デンバー観光局

長野 尚子
イリノイ州シカゴ郊外在住、フリーライター兼編集者、ときどきカメラマン。週末ジャズ・シンガー。剣道家。「人類平和」を究極のテーマとし、音楽、国際文化交流、教育、食、旅などの分野で人脈を広げながら執筆活動中。極上のブルースを求めてひとりでシカゴの夜を徘徊するのが趣味。著書に、アメリカでの「人生棚卸し」の旅3年間を綴った『たのもう、アメリカ。』(近代文芸社)。  facebookのコミュニティ「Chicago Samuraiシカゴ侍」管理人。HP http://www.shokochicago.com/

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