国内実感レポート

遺品整理 before & after

2018/04/16

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子どもたちが成人した50歳過ぎごろから、住まいや片づけに関心が向き始め、家の中で心地よく過ごすための考え方やノウハウをもっと知りたいと思うようになった。

その結果、少しずつたまっていったのが、これらの本。当時話題になっていた、断捨離、老前整理、こんまりの片づけの魔法などのライフスタイル本をためこんでしまった。筆者の意図を十分に咀嚼できないうちに、新たな本に手を出して・・・が続き、満足に片づけられたのは、子ども部屋とキッチン周りだけという、情けない有り様。当時の私、実際には、旅や趣味、友人との交流の時間を優先。子どもというストッパーが外れ、少々浮かれていたのかもしれない(と自己分析している)。

収集した書籍の一部。このほか、片づけが特集になった『クロワッサン』や『天然生活』などの雑誌も多々。

しかし、そんな気ままな暮らしは長続きしないもの。要介護4となった母を在宅介護するため、実家まで往復4時間半、週に2~3回通う日々が約1年半。昨年9月に、母は85歳で亡くなったのだが、悲しみにくれる間もなく、私に託されたのが「遺品整理」であった。越えなければならないハードルは2つ。まず、必要なもののありかを探すハードル。年金手帳や銀行通帳・ハンコのある場所がわからない。ホコリにまみれながらさんざん家探し、銀行関係のモノは見つけたが、年金手帳は見つからず、紛失届けを出して処理せざるをえなかった。

もうひとつのハードルは、衣類の片づけ。元々おしゃれで着道楽の母。たくさんあるとは思っていたが、その想像を絶する数に、スポンサー(?)であった父が、最も驚いていた。かつては母のタンスだけに留まっていた衣類が、私と弟の出て行った空き部屋のクローゼット、亡くなった祖母の部屋のタンスと押入れ、リフォームして新たに作った玄関横の物置の中にも溢れかえっていた。特にジャケットにスカートという組み合わせが多かったのは、10数年間にわたって毎月のように出かけていた国内旅行のためだったと思われた。これらの服は普段に着にくかったがゆえに、タンスや押入れの肥やしにせざるを得なかったのだろう。

母は、インテリアやリアルクローズ(普段着)にあまり関心のない人であった。常に「ハレ」を意識し、「ケ」の暮らしは二の次であった。しかし実際には、年を重ねるに従いハレよりもケが主軸になる。そのバランスがとれず、晩年は、家での暮らしを快適にできなかったのではないかと推測している。

母が使っていた桐のタンス。スーツ類は親戚や知人の女性に形分けとしてもらっていただいたが、ミンクのコート2着は、引き取り手がなく、入ったままになっている。

一連の遺品整理を終えた今、大切だと実感したのは、「残す」のではなく、「残さない」こと。自分自身の問題に置き換え、これからの暮らしをどのようにするのか、本気で実行するタイミングだと思う。遺品整理の“before”は、「ふわっと、そろそろ片づけなきゃ・・・」レベル。“after”は、「今しかない!!」という、強い動機づけになったのである。

私は30年近く、夫の仕事の関係で、車がなくては不便な郊外の戸建てに住んでいるが、夫が定年を迎える4年後には、弟や息子家族のいる大阪に帰り、駅近の便利なマンションに住み替えようと考えている。新築、中古に関わらず物件を探すなかで気づいたことは、シニアが安全に暮らすための工夫や間取り・動線の提案はあっても、物理的にも精神的にも使いやすい整理収納にまでは目が届いていないということ。リフォーム業者のサイトを見てもしかり、である。

母の遺品整理を通して、「収納場所があるからモノが増える」という、当たり前の法則を目の当たりにした。モノのサイズ・量に合った収納スペースは、モノを活用し管理する上で欠かせない。そこにプロの視点がほしい。たとえば、どれほどモノを整理しようとしても発生してくる問題。読んでしまった新聞、非常持ち出し袋、入院セット、ゴルフバッグ、消火器、見る頻度の高い大判の料理本、かさ張る数個のスーツケース・・・こんなモノたちは、どこにどのように置くべきか。ちゃんと想定して収納できれば、うれしいことこの上なし!なのだが・・・。そんな細かいことまで、プロに頼るのはわがままであろうか。

自分仕様にこざっぱり暮らしたい。ミニマリストにはなれなくても、わが家が癒しの空間になるように、老いという体の変化に適応しやすいように、そして、子どもたちに迷惑がかからないように住まいを整えながら、生きるために必要なモノの適量と使いこなすためのルールを決めていきたいと思っている。


Fusa Imai
大阪市生まれ。フリーランス・ライター&インタビュアー。元・㈱アイ・キューブ社員。現在は、WEBや企業広報誌等に、トレンド解説やシニア向けコラム等を執筆中。「人生後半の幸せな生き方」に興味があり、そのテーマに関わるヒト・モノ・コトにいつもアンテナを立てている。趣味はヨガ、弓道、アート鑑賞。

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