海外実感レポート

スピーディーに進化するシンガポール交通事情は、ビジネス・観光客・国民の「三方よし」

2018/03/30

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シンガポールの自動車が世界一高価なことをご存知だろうか。100%が輸入車のシンガポールでは新車の本体価格に関税がかかり、さらに車両購入権(COE :Certificate Of Entitlement)などで、例えばトヨタのカローラが10万シンガポール・ドル(日本円で約800万円)以上の価格にもなる。1990年からシンガポール政府が導入しているこのCOEは車を10年間所有する権利で、排気量1600cc以上で4万2,322シンガポール・ドル(約340万円 2018年2月)もする。今年2月からはCOEの新規発行をストップ、政府はCOEの数を制限することで車が増えすぎないようにしており、自動車所有率は15%ほどに抑えられている。

公共交通が安くて便利なシンガポールで、車を持つことはとても贅沢なことだ。高価な自家用車を持つ人は富裕層が中心で、軽自動車などは見かけない。

2016年12月には15階建てのガラスケースに車を縦に並べて展示した「タワー式高級車自動販売機」が登場し、話題になっている。私が見学に行った時にもフランスのテレビ局、アメリカの雑誌記者などが取材に来ていた。ショールームの経営者は、トイザらスのミニカーのディスプレイを見てこの販売方法を思いついたそうで、アプリを使って操作すると、車が地上に下りてきて、試乗や購入ができる。人気があるのはメルセデスベンツやポルシェだそうだが、せっかく乗るなら夢の車に乗りたいということか、クラシックカーやスーパーカーもディスプレイされている。

タッチパネルで車を選びます。

ビル内観

市街中心地の道路を通ると、「ERP」と書かれた標識が随所に見られる。これは、1998 年から導入された電子式道路料金システム(ERP:Electronic Road Pricing)を表している。課金のための機械を車に搭載することを義務付け、ピーク時の道路利用者から自動的に料金を徴収している。通行量の多い時間帯ほど料金が高くなるので、運転手が混雑する道路や時間帯を避けることにより渋滞を緩和させる仕組みになっている。だから、シンガポールでは、他のアジアの大都市のように全く車が動かないという渋滞はない。政策によって車に高い税金をかけ、車の台数や道路の交通量をコントロールしているのだ。ちなみに地下鉄やバスも時間帯によって料金が変化するという混雑回避の対策が行なわれている。

UBERやGrabなどのアプリを使用したシェアライドもすでに普及しており、タクシーと同じ感覚で使われている。2016年には世界に先駆けて、Grabアプリを使った自動運転タクシーの実験走行が行われた。またLTA(陸上交通庁) 、NTU(南洋工科大学)とボルボが技術開発する自動運転電気バスはテストコースで実証実験を行い、2019年に公道試験に進む予定だ。

タクシー、バス、地下鉄などの公共交通を充実させ、シンガポール国民の生活利便性を高める。また観光立国として魅力ある国に、さらには外国企業誘致のためビジネス環境を整える。小さい国だからこそ実行できるという事情もあるが、ますます便利になっていくシンガポールの変化のスピードは早い。


辻上 美紀
兵庫県神戸市出身。大学卒業後、株式会社リクルートで女性営業職として働くが、夫の転勤で退職し子育てしながらシンガポール、マレーシア、台湾にも在住。趣味は旅行、ゴルフ、語学、不動産、株。現在は社会人、大学生の2人の娘を日本に残し、夫とシンガポール在住、日本語教師として仕事をしている。

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