国内実感レポート

趣味に、仕事に、弓道のススメ

2018/01/15

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「弓道」と聞くと、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか。

よく知られている弓道シーンは、年明けに京都の三十三間堂で行われる「通し矢」。華やかな振袖姿の新成人が弓を引く姿は、毎年ニュースになる季節の風物詩です。道具である「弓矢」については、寺社で授けられる「破魔矢(はまや)」や相撲の弓取式などを挙げると、「見たことある!」と想起する方も多いでしょう。日本の弓は戦の武器としてだけではなく、古くから魔除けや儀礼具としても用いられてきました。

とはいえ、今の日本では、弓道は地味なマイナースポーツのイメージが強く、同じ武道である剣道や柔道と比べて、実際の経験者は少ないと想像されます。私は、人生の折り返し点を過ぎた頃、新しい自分を見つけるため(ちょっと大げさ・・・)に「はじめて&縁遠いスポーツ」を探しているなかで、弓道と出合いました。県立道場での弓道教室を経て地元の弓道会に属して4年余り。今、参段をいただいています。弓道の世界に触れてから、ものの考え方や体の使い方が変わってきたと感じています。未熟な私が語るにはおこがましいのですが、弓道の魅力を少しでも知っていただけたら幸いです。

弓道は、7尺3寸(約2m21cm)の長い弓を用いて、28m先にある的にあてるという、実にシンプルな競技です。武道で唯一、相手は人ではなく「的」のため、ひとりでも楽しむことが可能。自分の体格や体力に応じた強さの弓を使え、天気に影響されることは少ないという特徴があります。そのため、シニアにも人気で、オリンピック種目であるアーチェリーより競技人口は10倍以上多く、約13万人もの愛好者がいます。

清々しい射場には、日常とは異なる時間が流れる。 (兵庫県立弓道場)

弓道の弓には、アーチェリーのような照準機がついていません。自分の体感だけが頼りなので、ちょっとした心の動揺で射術が狂います。そのため、普段から射法の基本動作を確実にして、平常心で行射できるよう修練しておくことが大切です。

私が大きな魅力と感じているのはこの部分です。感情のアップダウンが大きく、平常心を保つことが苦手な性格のため、体とともに精神面を鍛えてくれる弓道を通して学ぶことが多いのです。

わが家のリビングに飾った額。
弓道から学んだ「平常心是道」は、私の座右の銘になっている。

弓道で使う矢と弽(かけ)と呼ばれる、右手にはめる鹿皮でできた手袋。自分の手にぴったり合うことが大切で、「かけがえのない」という言葉の語源になっている。

弓道は生涯スポーツとして非常に優れていますが、ビジネスに応用できるという発想もあります。あの、ベルギーのおしゃれな高級チョコレート、ゴディバと弓道の意外な取り合わせです。フランス人のゴディバジャパン代表取締役社長のジェローム・シュシャン氏(56)は、弓道歴27年。錬士(れんし)五段という称号をお持ちです。学生時代に日本文化を紹介する本で弓道を知り、始めたそうです。シュシャン氏は、日本でのゴディバの売上2倍をわずか5年間で達成するという偉業を成し遂げ、そのビジネス論を、『ターゲット』(高橋書店)で著しました。

シュシャン氏の著書『ターゲット』。弓道と縁のないビジネスパーソンが読んでも、堅苦しくなく、ビジネス成功のためのヒントが得られる。

この本で、私が印象に残った要点をご紹介します。

※「」が弓道の教え、→以後がビジネスへの展開です

  • 「正射必中(せいしゃひっちゅう)」:正しく射られた矢は、必ず的にあたる

→結果にとらわれず、すべてのプロセスを正しく行うことを心がければ、ビジネスは成功する

  • 「一射一射(いっしゃいっしゃ)」:一回ごとの射を大切にしなさい。前の射を忘れ、その都度、新たな気持ちで臨むべき

→一年一年新しいことを考えて臨むべき。成功体験に安住してはいけない

  • 「矢所(やどころ)を見る」:放った矢が刺さった場所をつぶさに見て、原因を探り、弱点を改善する→前に進むために失敗の本当の原因をよく分析することが重要

上の3点は、いずれも弓道の代表的な教えをビジネスに置き換えたものです。この言葉、不祥事があとを絶たない昨今の日本企業にも、必要ではないでしょうか。

「トン!」。的に矢があたった小気味よい音。

そんな音を聞くことは少ない私ですが、無心で的に向かい、気持ちよくあたったときの爽快感はたまりません!大半の射は反省ばかりで、ときには落ち込みますが、学ぶおもしろさ、奥深さに魅了され続けています。弓道は、私の人生後半を、まちがいなく豊かにしてくれると感じています。

恥ずかしながら、前で弓を引くのは私です。
昨年の「ねんりんピック秋田」の予選にて。
(残念ながら予選落ち・・・)


Fusa Imai
大阪市生まれ。フリーランス・ライター&インタビュアー。元・㈱アイ・キューブ社員。現在は、WEBや企業広報誌等に、トレンド解説やシニア向けコラム等を執筆中。「人生後半の幸せな生き方」に興味があり、そのテーマに関わるヒト・モノ・コトにいつもアンテナを立てている。趣味はヨガ、弓道、アート鑑賞。

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