海外実感レポート

アメリカで阿波踊りを。

2017/09/14

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

縁あって、シカゴで阿波踊りを踊り広めています。

きっかけは2年前の「シカゴ日本祭り」。そこで阿波踊りを一緒に踊ったメンバーが再結集して、今の「連」(阿波踊りのチームのこと)を作ったのが始まりでした。私は徳島出身(だから阿波踊りが踊れるだろう)というだけでインストラクターを仰せつかり、その流れで今はなぜか連長に。現在メンバーは15人ほど。国籍も年齢も職業もバラバラな人たちが、月に一度忙しい合間をぬって楽しく練習を重ねています。踊りはまだまだですが、衣装の美しさや観客を巻き込んで“踊る阿呆”になれる楽しさが受け、最近ではシカゴ内外の日本文化関連イベントへの出演オファーをたくさんいただくようになりました。その一方で、人様にお見せしても恥ずかしくない踊りをしなければ、常に新しいコンテンツを見せなければ、というプレッシャーも重くのしかかってくるようになりました。特に徳島県人の私にとって、阿波踊りは大衆エンターテイメントである以前に大切な“郷土芸能”。県人として下手なものは見せられない、という別のプレッシャーもずしり。

そもそも外国で日本の伝統芸を広めるのは、容易なことではありません。楽しいだけでは素人の発表会の域を出ず、かといってあまりストイックになってもメンバーが集まらないばかりか離れていってしまう。常にそのバランスとの戦いです。(特に私は体育会出身のせいか、どうしてもストイックになりがち。)目的を異として集まった人たちを同じ方向に導く、というのは実に大変なことだと気付かされました。

さらに海外では文化の違いも考慮しなくてはいけません。基礎を我慢強く練習することを学校教育や習い事などで叩き込まれている日本人と違い、外国人(日本文化に傾倒している人は除く)はとかく一足飛びにカッコいい形にたどり着こうとする傾向があり、コツコツと地味な基礎練を繰り返すと不満が噴出します。日本の芸能だからと日本の慣習を押し付けるのはNG。チームとしてどこを着地点に目指していくのか、正直なところまだ迷走中。

先日徳島に帰省したとき、有名連の連長さんがこう話してくれました。「(連に新人が)入って半年は足さばきのみの練習。まず基礎を体に叩き込ませないとその先何もできない。それからようやく手をつけ、踊りに自分の個性が出せるようになるのは10年経ってから」。海外でここまでやるかどうかは別としても、多民族国家のアメリカでこそ伝えられることもあるはず。つまり、各自が自分は何者なのか、何を表現したいのかを謙虚に追求し、全力で吐き出すこと。見る者に感動を与えるのは小手先の技術ではなくほとばしる“パッション(情熱)”なのだと、本場の夏を経験した今ひしひしと感じています。

(長野尚子)


長野 尚子
イリノイ州シカゴ郊外在住、フリーライター兼編集者、ときどきカメラマン。週末ジャズ・シンガー。剣道家。「人類平和」を究極のテーマとし、音楽、国際文化交流、教育、食、旅などの分野で人脈を広げながら執筆活動中。極上のブルースを求めてひとりでシカゴの夜を徘徊するのが趣味。著書に、アメリカでの「人生棚卸し」の旅3年間を綴った『たのもう、アメリカ。』(近代文芸社)。HP  http://www.shokochicago.com/

 

新着記事

ABOUT US アイ・キューブとは
アイ・キューブ物語

アイ・キューブの事を、より深く知っていただく為に。

お問い合わせ

マーケティングやコンセプト構築、商品の企画・デザインまで、ご相談はお気軽にどうぞ。